会社設立のメリット・デメリット

法人による事業活動には、以下のメリット・デメリットがあります。

メリット(1) - 社会的信用の向上

法人には、会社登記・最低資本金等の様々な規制が課せられています。この規制があることで、社会的信用が向上します。

メリット(2) - 所得税等を節税できる場合がある

個人事業では、事業による利益に対して課税されます。一方、法人による事業では、仮にすべての利益を役員報酬と支払ったとすると、法人では課税所得がないので法人税が課税されません。また役員報酬を受け取った個人は、最低でも65万円の給与所得控除を課税所得から差し引かれます。この給与所得控除があるために、個人事業よりも法人の事業のほうが、役員(株主)の所得税を節税することができます。

※代表者に対する役員報酬支払前の利益が800万円を超える場合は、代表者の給与所得控除分が法人の課税所得に加算され、節税とならない場合があります。

※青色申告控除(55万円)の適用がある個人の場合、概算で230万円以上の事業所得がある場合は法人での事業が有利となります。

また、個人の所得に対する所得税は累進税率で最高税率が50%となりますが、法人税の税率は原則30%です。したがって、利益が多額となる場合は、法人・個人を合わせた租税負担の合計は、法人による事業の方が低くなります。

他にも、個人の場合の青色欠損の繰延は3年ですが、法人の青色欠損の繰延は5年と長くなる等のメリットもあります。

「計算例:売上2000万円、経費650万円の事業の場合」

(個人事業の場合) 
・個人事業の課税所得 2000万円-650万円-55万円=1295万円
 ※青色申告控除額が55万円あると仮定
・個人事業の所得税額 
 (1295万円-38万円)×30%-123万円-25万円 = 229.1万円
 ※扶養家族なしで基礎控除38万円のみの控除があると仮定
 ※25万円は、定率減税による減税額
・個人事業の住民税額
 (1295万円-33万円)×13%-31万円-4万円 = 129万円
 ※扶養家族なしで基礎控除33万円のみの控除があると仮定
 ※4万円は、定率減税による減税額


(法人による事業の場合)
・法人の課税所得 2000万円-650万円-1350万円=0円
 ※1350万円を役員報酬として支払ったと仮定
・法人の課税額 課税所得0円のため法人税・事業税は課税されず、
 住民税の均等割70,000円のみ課税
・役員の課税所得 1350万円-237.5万円=1112.5万円
 ※237.5万円は給与所得控除
・役員の所得税額 
 (1112.5万円-38万円)×30%-123万円-25万円=174.3万円
 ※扶養家族なしで基礎控除38万円のみの控除があると仮定
 ※25万円は、定率減税による減税額
・役員の住民税額
 (1112.5万円-33万円)×13%-31万円-4万円=105.3万円
 ※扶養家族なしで基礎控除33万円のみの控除があると仮定
 ※4万円は、定率減税による減税額

(両者の比較)
・個人の場合の所得税・住民税合計 229.1万円+129万円=358.1万円
・法人の場合の法人住民税と所得税と個人住民税の合計 7万円+174.3万円+105.3万円=286.6万円
・法人設立による節税額 71.5万円

メリット(3) - 創業の場合、社会保険負担を軽減できる場合がある

新規事業を個人事業で始める場合、国民健康保険・国民年金保険に加入します。しかしながら、国民健康保険は前年度の所得に応じて保険料が決まります。新規事業の場合、事業主(社長)の所得は一時的に下がるのは通常ですから、所得に比して国民健康保険料が過大となる場合があります。

一方、法人で新規事業を始める場合、社長・役員は政府管掌健康保険に加入でき、健康保険料は役員報酬に応じて決定されます。したがって、新規事業開始後の役員報酬を低めに抑えた場合は、社会保険料負担を軽減できる場合があります。
※法人の場合は、社会保険料は個人と事業主(会社)の折半で健康保険料を支払いますが、会社負担とあわせても保険料負担が軽減できる場合があります。

また、過去に一定額以上の厚生年金を支払っている方は、国民年金保険よりも厚生年金保険のほうが、将来の年金の受給・遺族保険の受給の際にも、厚生年金保険が有利となります。




デメリット(1) - 商法等の法令による縛りが強くなる

法人の社会的信用の裏返しとして、商法で会社の登記、最低資本金、帳簿・計算書類の保存整備が求めれる等の規制が強くなります。

デメリット(2) - 税金負担が重くなることもある

会社の利益をすべて役員報酬とすれば、法人税の課税はありません。しかしながら、税務上役員報酬として認められるのは類似法人と比して過大ではない金額に限られます。

また、法人税支払後の法人の残余利益を株主に配当しようとすると、今度は株主に配当所得としての所得税が課税されます。すなわち、法人と個人の2重課税が発生します。

さらに、同族法人では、株主等に配当されない残余利益(留保金)に対して、追加の課税が発生することもあります。

他、法人税等の計算は所得税に比べ複雑で、税理士等への申告書作成委託が必要になる場合もあります。


デメリット(3) - 従業員数にかかわらず社会保険に加入する義務がある

個人事業の場合は、原則として従業員数が5人以上の場合に、社会保険(健康保険・介護保険・厚生年金)に加入する必要がありますが、法人の場合は、従業員数にかかわらず社会保険に加入する義務があります。

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